気候変動関連情報(TCFD枠組みに基づく開示)サステナビリティ Sustainability

戦略(リスクと機会の分析、対応策の検討)

当社グループは、気候変動問題はリスクとしても機会としても、非常に重要な経営課題と認識しています。気候変動問題に関して、私たちが直面するリスクと機会並びに対応策について、以下の2つのシナリオに基づき検討・分析を行いました。

1. 当社グループが直面している主要な気候変動関連のリスクと機会(シナリオ分析)

気候変動に関しては、主要国の温暖化対策の動向等により様々なシナリオが考えられます。当社グループでは、①移行リスクシナリオ(1.5℃以下シナリオ)、②物理的リスクシナリオ(4.0℃シナリオ)、の2つの代表的なシナリオを想に及ぼすリスクと機会を検討しました。

① 移行リスクシナリオ(1.5℃以下シナリオ)
2050年までに地球規模で温室効果ガス排出量ゼロを実現する規範的シナリオ。政策、エネルギー・産業構造、資源価格等は、IEA「World Energy Outlook 2022」の「NZE2050シナリオ」、平均気温等気候変動に関する想定は「IPCC第6次評価報告書」の「SSP1-1.9シナリオ」に原則として準拠。

② 物理的リスクシナリオ(4.0℃シナリオ)
現時点で公表されている温室効果ガス削減に関する政策や目標の撤回を含めて、気候変動問題に対する有効な政策が実施されないシナリオ。政策、エネルギー・産業構造、資源価格等は、IEA「World Energy Outlook 2022」の「STEPSシナリオ」、平均気温等気候変動に関する想定は「IPCC第6次評価報告書」の「SSP5-8.5シナリオ」に原則として準拠。

リスクと機会の選出と特定、またその対応策については、当社グループ企業の幹部社員への意識調査に基づき、サステナビリティ委員会が外部有識者の意見も踏まえて検討・決定しました。その主要な検討結果は、以下の通りです。

リスク

分類 顕現する
時期
重要なリスク 対応策
1.5℃シナリオ 政策・法規制 短期~中期
  • カーボンプライシング導入(炭素税等)による電力料金や輸送コスト等の増加
  • GHG規制強化による投資負担の増加
  • 電気料削減対策の推進、省電力設備、EV導入
  • 輸送・在庫管理システムの効率化と省エネルギー化
  • 他社と共同したクリーンエネルギー活用の物流網構築
短期
  • 情報開示コストの増大
  • 必要とされる情報を効率よく収集できる体制の構築
市場 中期~長期
  • サプライヤー側のコスト増による原燃料価格の上昇リスク
  • 取引業者と共同でのコスト管理
  • 適正な価格転嫁の実施
評判 短期~長期
  • 環境関連対策や情報開示の遅れによるレピュテーション・リスクの増大(ブランド、評判、採用難、離職者増等)
  • 環境対策を始めとするサステナビリティ情報に関する情報開示や社内教育の徹底
  • GX(グリーントランスフォーメーション)の施策企画及び実施
4.0℃シナリオ 慢性 中期~長期
  • 店舗の気温上昇・洪水等への対策費の増加
  • 店舗・事務所内の温度管理の推進
  • 防水対策の実施
急性 短期~長期
  • 大規模災害等の発生による営業停止リスク及び復旧コスト
  • BCPの作成、災害対策の強化
  • ハザードマップ周知と避難訓練実施
短期~長期
  • 異常気象を起因とした大規模災害発生後の医薬品供給の不安定化
  • 医薬品等の在庫確保及び備蓄分散によるリスクヘッジ

機会

分類 顕現する
時期
重要なリスク 対応策
1.5℃シナリオ 政策・法規制 短期~中期
  • 再生可能エネルギー活用などによるクリーンで効率的な営業拠点整備
  • 店舗等へのソーラーパネル・HEMSの設置や省エネ性の高い設備等の導入
評判 短期~長期
  • 環境関連対策や情報開示の強化によるレピュテーションの改善
  • 環境対応の推進による人材維持・獲得
  • 環境対策を始めとするサステナビリティ情報に関する情報開示や社内教育の徹底
  • GX(グリーントランスフォーメーション)の施策企画及び実施
短期~長期
  • 店舗の緊急時の補給拠点化など地域インフラの整備支援
  • スマートシティ等への積極的な出店
4.0℃シナリオ 慢性 中期~長期
  • DXを活用した医療サービスの提供による新規取引拡大
  • 高温多湿化や異常気象対策による商品ニーズの高まり
  • DXによる販売ネットワークのBCP機能強化
  • ドローンを活用した物流ネットワークの整備
  • 関連商品の売上増加
急性 短期~中期

2. 財務的影響

移行リスクシナリオの中で、財務的な影響が特に大きいと予想されるのは、カーボンプライシング(炭素税導入)等による電力価格や輸送コストの上昇などです。物理的リスクシナリオの中で、財務的な影響が大きいと予想されるのは、大規模災害等の発生による営業停止リスク及び復旧コスト、店舗の気温上昇・洪水等への対策費の増加などです。

リスク管理

サステナビリティ課題に関するリスクと機会については、サステナビリティ委員会を中心に、社内外ステークホルダーへのヒアリングや事業部・関連部門との議論を整理分類して明らかになった課題をもとに、6つの重要課題(マテリアリティ)を特定しています。 気候変動問題を含めた「サステナブルな社会と未来に向けての取り組み」は、事業活動に関するマテリアリティの最重要項目の一つとして認識しています。気候変動に関するリスクと機会に関しては、サステナビリティ委員会が幹部社員への意識調査に基づき重要なリスクと機会を特定しています。特定したリスクと機会に関しては、取締役会に報告され対応策が討議・決議されます。取締役会は、サステナビリティ委員会の報告に基づき、サステナビリティ課題を含めた総合的な外部的・内部的な経営リスクを勘案し、その相対的重要性や相互作用性などを考慮した上で、サステナビリティ課題に関する重要課題(マテリアリティ)の特定を行います。

なお当社グループは、経営課題に内在・関連するさまざまなリスクに対応するため、「コンプライアンス委員会」、「サステナビリティ委員会」を設置し、必要に応じて外部の専門家の助言を受け、リスク管理の充実に努めています。

指標と目標

1. 気候関連リスクおよび機会を評価する指標と目標

当社グループは、気候関連リスクおよび機会を評価する指標として、温室効果ガス(GHG)排出量を設定しております。GHG排出量については、①自社の製造プロセス・事業活動における重油・ガス等燃料使用による直接排出(Scope1)、②他社からの電力・熱の購入等による間接的な排出(Scope2) 、③Scope1、Scope2以外の間接排出(Scope3,当社グループの活動に関連するサプライチェーンの排出)、のうちScope1とScope2について、 GHGプロトコルの基準に則して算出をしました。

2. 温室効果ガス排出量の削減目標および実績

当社グループは、GHG排出量について、2035年に向けてのScope1・Scope2の合計の削減目標を設定する予定です。

国際連合「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第6次統合報告書では、地表の平均気温を産業革命前(1850年-1900年平均)比1.5℃以下に抑制するためには、2035年までにGHG排出量を2019年比60%削減、2050年に実質ゼロにする必要があると指摘しています。当社グループは、各グループ企業において実施可能なGHG削減策と必要な対策を検討し、IPCCの提言と整合的な削減目標を設定する予定です。

現時点では、暫定的なGHG削減目標として、2035年に向けての中間年にあたる2030年のGHG排出量を2022年比30%削減、最終目標として2050年のカーボンニュートラルの実現を想定しております。当社グループの温室効果ガス排出量(Scope1・2の合計)は、2025年度(令和8年5月期)現在で5,924t-CO2eとなっています。

2022年度(令和5年5月期)実績 2025年度(令和8年5月期)実績 削減目標
(売上高1億円当たり、暫定)
総量 売上高1億円当たり 総量 売上高1億円当たり 2030年 2050年
Scope1 364t-CO2e 0.7t-CO2e 357t-CO2e 0.5t-CO2e ― ―
Scope2 4,617t-CO2e 8.9t-CO2e 5,567t-CO2e 8.0t-CO2e ― ―
Scope1+Scope2 4,981t-CO2e 9.6t-CO2e 5,924t-CO2e 8.5t-CO2e 6.7t-CO2e 実質ゼロ

ESG、SDGsの主な取り組み

ESG/SDGsの各領域における具体的な施策・取り組みを、マテリアリティと連動させて展開いたします。

ESG 項目 SDGs
環境
(E)
  • かかりつけ登録患者へのお薬マイバッグ配布
  • バイオマス素材配合率25%以上のレジ袋の使用
  • 医薬品の流通合理化への取り組み
    (医療用医薬品の配送回数の削減)
  • 環境に配慮した産業廃棄物の処理
    (適切な産業廃棄物の処理、注射針の回収)
  • 店舗施設へのソーラーパネルの設置(淡路市)
社会
(S)
  • 社会課題の解決に向けた事業展開
    (調剤薬局事業、物販事業等)
  • 認知症サポーターの育成(300名)
  • 被災地支援
    (宮城県東松島市復興エリアでのスーパー・調剤薬局運営)
  • 子供薬剤師体験会の開催
  • 健康サポート薬局による健康相談会開催
  • 当社オリジナルの認知症カフェ「カフェにゃーまらいず」の開催
  • 女性役員比率30%以上の実現
  • 視覚障害者の働ける鍼灸・マッサージ院の運営
  • 新人事制度導入により社員全員が働きやすい環境を構築
  • 健康経営優良法人の取得継続(2026年度~)
  • オレンジイノベーションプロジェクトへの参画(2025年度~)
企業統治
(G)
  • 子会社統合によるガバナンスの体制強化
  • 個人投資家向け説明会の開催
  • 決算説明会を半年毎から四半期毎の実施に強化改訂
  • 内部通報制度の整備
  • 透明性の高い人事制度、報酬制度の整備
  • 基幹システム改訂による情報セキュリティ強化及び情報開示迅速化